前に国産車のロゴ/エンブレムに込められた想いについてまとめた記事を書いたら、「外国車は?」という声があったので外国車のまとめも書いてみることにしました〜!
外国車といえば、日本だと、アメ車、ドイツ車、フランス車、イタリア車、イギリス車あたりが多いかと思いますが、特にドイツ車はポルシェやらベンツやらBMWやらと高級ブランドが並ぶ印象ですね。
ということで、今日はドイツ車特集!
ただし、ドイツ車メーカーのエピソードはそれぞれ濃いので、【前編】と【後編】に分けます!
今回はドイツ車御三家と言われる3社を紹介!
Mercedes-Benz
日本で高級車の代名詞といえば、「メルセデス・ベンツ」ではないでしょうか?
丸の中に三本の矢というとてもシンプルなエンブレムだけで「これがベンツだ」と誰もがわかるのがすごいと感じますが、このエンブレムには、「スリーポインテッドスター」(Three pointed star)という名前がつけられています。
メルセ・デスベンツは社名ではない
ベンツは、公式サイト内でスリーポインテッドスターをはじめとしたエンブレムの変遷などを詳細に紹介してくれていますが、そもそも、「メルセデス・ベンツ」とは社名ではありません。
1883年に創業した世界最古の自動車会社「ベンツ&カンパニー社」と、1890年創業の「ダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト社」(以下、イムラー・モトーレン)という2つの自動車老舗会社が1926年に合併し「ダイムラー・ベンツ社」が誕生し、同社(現在はダイムラー社)が保有している、いちブランド名なのです。
メルセデスという名称は1902年からブランド名としてすでに商標登録されていた様で、上の様なエンブレムが付けられていたらしいです。
「メルセデス」とは、1899年当時、ダイムラー車のディーラー(販売代理店)を経営していたオーストリア=ハンガリー帝国の領事でありユダヤ系ドイツ人の富豪であるエミール・イェリネック(Emil Jellinek )の娘の名前である。イェリネックは自らが販売する自動車に、「ダイムラー」という硬い響きを避け当時流行していたスペイン風の響きを持つ名を冠した。この「メルセデス」ブランドは非常に有名になり、ダイムラーは1902年、「メルセデス」を商標登録した。
(Wikipedia)
メルセデスの由来だけでひとつの記事になりそうなくらいの歴史があるわけですが、ダイムラー・モトーレンは1909年よりスリーポインテッドスターを意匠登録、同社ロゴ及びエンブレムに使用し始めます。
誰もが一目でそれとわかるこのスリーポインテッドスターですが、最初のこのマークを考案したのは、ダイムラー・モトーレンを立ち上げたゴットリープ・ダイムラーと言われています。しかし、エンブレムや会社ロゴに採用された時彼はすでに亡くなっていました。
ゴットリープ・ダイムラーは生前「自分の工場を持つようになったら、このマークを掲げたい」いう夢を持っていてたそうですが、事業を引き継いだ息子たちが亡き父の夢を叶えるべく社内に提案、採用されたという歴史があるそうです。
なんか、かっこいい経緯ですね…!
そんなダイムラー・モトーレンは1926年にベンツ&カンパニー社が合併され、「ダイムラー・ベンツ社」が誕生。ロゴ/エンブレムが更新されます。
こちらはベンツ&カンパニーのロゴです。月桂樹に囲われた「BENZ」の文字でデザインされています。これは、ベンツ&カンパニー社が自動車レース界で築いた成功を意味するデザインです。
1916年に使われていたらしい「MERCEDES」の名が刻まれたエンブレム。
これらが会社統合に合わせて融合することとなりました。
見事に「MERCEDES」と「BENZ」の名、月桂樹、そしてスリーポインテッドスターが融合されました!
ダイムラー・ベンツ社はやがて「メルセデス・ベンツ」へと名称を変え、また、シンプルにスリースターだけというエンブレムも登場し、同社の車を飾る様になりました。。
今は色々な都合から廃止の流れにある「どや、ベンツやで」というこのボンネットに輝くスリースターも、根元には同社ロゴが。
こっちパターンもあるみたい
飛び出せなくなった最近ではフロントグリルにスリーポインテッドスターをどーんとデザインし、ボンネットには名残でロゴを置く感じが多い気がします。
こんな感じ
ちなみにこの3点には「陸・海・空」の意味が込められているそうで、これは、「どこの場所においても企業や製品が優れており、頂点である」ということを強調するものだそうです。いただきを意味する星の先っちょだったのですね!
兎にも角にも、一発でベンツを示す3点星はシンプルなのに高級感があり、多くの人の憧れとなっています。
ここで紹介した様な歴史があってこそかもしれませんが、シンプルなのにカッコいいロゴデザインとか、ボクはそこにも憧れてしまいました。
ベンツ公式サイト
BMW
ベンツと並んでラグジュアリーブランドの代名詞となっているのが「BMW」。
BMWのフロントグリルデザインは「キドニーグリル」(キドニーは英語で腎臓の意味)と呼ばれていて、一目で「あ、BMWだ」とわかります。海外では「Twin kidney grille」と呼ばれているそうです。
このキドニーグリルは、BMW初のオリジナルモデルとなった1933年生産の「303」(上写真)から80年以上、デザインを少しずつ変えながら現在にも続くデザイン。
こんな”未来感ハンパねぇ”最新のコンセプトモデルにもキドニーグリルは採用されています。
ちょっと気になったんで調べてみたら鼻の穴…じゃなくて、キドニーグリルの変遷をまとめた画像もありました。
一番右の最新バージョンでは縁取りが青く光っている様にも見えますが、これはEVモデルの「i3」やプラグインハイブリッドの「i8」などの新世代モデルに採用されるデザインを示しているんでしょう。
そんなBMWのアイデンティティとも言えるキドニーグリルですが、ある人たちには、「ブタの鼻」とも呼ばれていて、好まない人にとってはあまりかっこよく見えないデザインの様です(笑)。
ボクは、、、まあ、気にならないっちゃ気にならないし、ブタの鼻に見え始めると、もうそれにしか見えなくなっちゃう、という感じでしょうか?(笑)
本題までが長くなりましたが、そんなBMWの現行エンブレムはこれ。
Update! さらに新しいデザインが発表になっています!
EV時代を見越したフラットで、シンプルなデザインに更新されています。
エンジンメーカーに由来説
一番よく聞くのが、BMWが元は飛行機のエンジンを作っていたことから、十字が「飛行機のプロペラ」、そして青が「空」で白が「雲」という説。
ですがこれはどうも後付けの”それらしい”エピソードな様です。
拠点地バイエルン州の旗に由来説
黒の円は母体となったRapp Motorenwerke GmbHのロゴに由来し、中央の青と白はバイエルン王ヴィッテルスバッハ家の紋章に起源を持つ旧バイエルン王国、現在のバイエルン州旗にちなむものである。エンブレムのデザインは過去に何度か微妙にBMWの字体とその位置程度が変わっているが、基本的な部分は変わらない。
(Wikipedia)
Wikipediaに載っているこの由来が本当の由来だそうです。確かに色は全くそのままですね!
でもボク的には前者のプロペラ説の方が幸せになれるなーって思っちゃいました(笑)。
BMW公式サイト
Audi
御三家最後は「アウディ」。
ベンツやBMWと比べると販売数は少なくなる様ですが、「クワトロ」(Quattro )という四輪駆動が人気で、最近では若年層をターゲットにオシャレ感とプレミアム感を演出するデザインを進めていて2強に劣らぬデザイン性と走行性能で一定の地位を確立しています。
そんなアウディのエンブレムは4つの輪が重なった比較的シンプルなものですが、ここにはどんな想いが込められているのでしょうか?
4社が合わさったエンブレム
現在のアウディ車に使われている「フォーシルバーリングス」と呼ばれる4つの輪を組み合わせたエンブレムは、かつてのアウトウニオンのエンブレムに手を加えたもので、アウトウニオン設立に参加した4社の団結を象徴するものである。
(Wikipedia)
オリンピックマークっぽいとも言われる4つの輪は4つの会社を象徴していたのですね!
左から順に「アウディ」、「DKW」、「ホルヒ」、「ヴァンダラー」の会社ロゴ。
こちらがアウトユニオンのロゴ
第一次世界大戦後の不況の中、ドイツ自動車市場にはアメリカ大手自動車メーカーが大挙して進出し、既存の国内メーカーを脅かしていた。これに対抗するため、1932年にザクセン州に本拠を置く中堅メーカーであったDKW、アウディ、ホルヒ、ヴァンダラーの4社が合同し、新たにアウトウニオン(Auto Union, 自動車連合)を結成した。
(Wikipedia)
なるほど、今ではプレミアムブランドの一角を担う存在に成長したアウディも苦労した時代があるわけですね。ここ10年で合併された会社がとっても多い様に思いますが、いつの世も、合併によって生き残るというのは企業の宿命なのかも知れません。
しかしアウディはM&Aなどで定期的に問題になる様な敵対的買収とか、吸収ではなく、そのロゴが示す様に共に生き残ろうと結成された”連合”に起源があるというのはいい話ですね!
めでたく4社が融合
それぞれの会社のオリジナルロゴが取っ払われ、4つの輪が残ったものが現在のデザインになったわけですね!
現在は四駆の「クワトロ」が有名だったりもするので、”4”という数字に縁のある会社なのかも知れません!
アウディ公式サイト
まとめ
- ベンツの”スリーポインテッドスター”は「陸、海、空、どの場所でも頂点に立つ」という意思表示
- BMWのプロペラ&空&雲がエンブレムの由来説は間違い→バイエルン州旗にちなむ
- アウディのエンブレムは「アウトユニオン」4社の絆の証
ドイツ車御三家は、どのエンブレムも一目でブランド名が出てくるくらいのブランド力と認知力を誇りますが、その成り立ちについてまでは皆が知る訳ではないかも知れません。
ボクも10年くらい前にトヨタ博物館(愛知県)に行った際にいろんなメーカー・ブランドの歴史を知り、社名やブランド名、ロゴ、エンブレムにもいろんな歴史や想いが隠されていることを知り、興味を持ち始めましたが、調べれば調べるほどいろんな情報が出てきて好奇心を駆り立てられます。
ボクが自分で描いた会社ロゴもいつかボク以外にも愛されるものになればいいな・・・とか夢を見ちゃいますが、そのためには少しずつでも実績を積み上げていかなきゃですね(汗)。
次回はポルシェやフォルクスワーゲンなど、ドイツ車編後編をまとめてみます!