今、空前の”コンパクトSUV人気”が起こっていますが、いよいよボクの大好きなPeugeot(プジョー)がSUV市場に本格参戦を始めました!
国産では、ホンダ「ヴェゼル」が大人気で、そこにトヨタ「C-HR」、フルモデルチェンジで2世代目となったマツダ「CX-5」など本当に群雄割拠のコンパクトSUV戦国時代に突入しており、輸入車でも、BMW「X1」やベンツの「GLA」、アウディ「Q1」などなど、どのメーカーも主力商品として意欲モデルを投入しています。高級国産車のLEXUS「NX」も超かっこいいですね。
一昔前までの”ヘビーデューティー感”全面推しの3.0リットルオーバーエンジンを搭載したSUVとは違い、ベースはコンパクトカーと共有するパターンの車種が主流になったことも日本での人気につながっていそうです。
そんな戦国時代にプジョーが、フェイスリフトした「2008」を皮切りに参戦!ディーラー主催の「高速道路試乗会」が開催され、お招きいただいたので行ってました!
「NEW PEUGEOT 2008 SUV」登場
プジョーのコンパクトSUV、「2008」は、同社人気コンパクトカーである「208」をベースとするクロスオーバー車種で、日本では2014年に登場しました。
当時搭載されていた「ETG5」と呼ばれるセミオートマ(自動変速機能付きマニュアル)トランスミッションがなかなか評判がよろしくなく、今回の”フェイスリフト”に先駆けて2016年春に6速オートマに変装した「クロスシティー」というグレードが登場していました。
今回のフェイスリフトでは初期バージョンから”顔”が大きく変更されました。
初期の「2008」エクステリア
フロトグリルがより”SUV”らしく突き出す形になり、プジョーの今後のSUV攻勢の始まりを予感させるものへと更新されました。また、フェンダーガードが黒く縁取られている点もより力強さを感じるデザインとなっています。
こうして向かい合わせにさせると変更点がよりわかりやすいですね。フロントグリルが変わるとこうもSUVらしくなるものか、と感じますが、実はこの新デザイン、ボク的にはあの人気車種に似ている気がしてならないんですよね。
こいつです。MAZDAで最も売れているらしい人気SUVの「CX-5」さん。MAZDAはこの赤色を推していますが、今回の「2008」のセールスカラーもレッドらしく、プジョーは「CX-5」を狙い撃ちで対抗意識を燃やしているのかと勘ぐってしまいます。
並べてみましたが、どうでしょう?似てませんか?「CX-5」はそのデザインへの評価も高い車種なので、真似してるのでは、、、と思わせられちゃいます。ま、余計なお世話ですよね。
ともあれプジョーは今後、上位車種である「3008」や「5008」のフルモデルチェンジも控えており、現行車種がMPVスタイルに近いのに対して、完全なSUVスタイルへと変更となり、プジョーがSUVシリーズ拡充を図る姿勢が感じられる展開となっています。
現行「3008」(左)と新型「3008」(右)
NEW「2008」の特徴
フェイスリフトですので、主なアップデートは外観になりますが、初期バージョンでは「Premium」と上位グレードの「Cielo」に2グレード展開だったのが、「Allure」と上位グレード「GT Line」に変更になったグレード展開の変更も一つの注目点かも知れません。
上の写真では左が「GT Line」、右が「Allure」。「Allure」の方はフロントグリルの縁やルーフレールなど、クローム調の色使いで、「GT Line」はそれがブラック基調となりしまった印象の外観となります。
ホイールサイズも「Allure」の16インチが「GT Line」では17インチのオールシーズンタイヤになることや、道の状況に合わせた走行をアシストする「グリップコントロール」が標準で付く点などが上位グレードらしい装備です。
SUVらしい装備といえばそうですが、このカテゴリーの車種でそんなに重要な装備ではないかも?
両グレード共通の新装備としては、今流行りの「追突防止機能」、「ACTIVE CITY BRAKE」が標準で付いたのも特徴の一つですが、今世に出ている最新のタイプよりは少し遅れたタイプの様です。もちろん無いより絶対いいですが。
プジョーのお家芸といってもいいかも知れない、天井に大きく開いたガラストップ、「パノラミックルーフ」は両グレード11万円でオプション設定可能です。
また内装が大きく違っていて、「GT Line」には”赤いライン”が随所に施されていて、ドアを開けた瞬間からその違いがわかります。こちらは写真を色々撮ったので後ほど追記します。
パッと見の印象はやっぱり上位グレードの「GT Line」がかっこいいなと思いますが、お値段の差が、「Allure」262万円からに対して「GT Line」が285万円からと20万円以上お高いことを考えると、「うーーーん」と言ったところです。
今回の試乗車、赤いライン満載の「GT Line」をチェック
今回試乗用に用意されていたのは上位グレードの「GT Line」x セールスカラーのアルティメットレッドという組み合わせの1台。
大阪の天保山近くで特設会場が設けられており、要予約スタイルだったため到着したら早速試乗車へと誘われました。
先ほど書いた通り、「GT Line」にはレッドをあしらったデザインがたくさん施されていて、フロントグリルの「PEUGEOT」の文字も赤くなっています。
乗り込んですぐ目に飛び込むのがインパネですが、メーターの縁取りに「赤いライン」が。下位モデルや旧グレードの「Premium」、「Cielo」ではここは青色になります。
前席エリアの全体的な印象。黒ベースに赤いラインが多用されているのがわかります。
プジョーでは「i-Cockpit」と呼ばれる小径ステアリングを採用した設計を進めていて、従来ハンドルの内側から覗き込む様にしてメーターを確認するのではなく、ハンドルの上からメーター類を見るスタイルとなっています。
運転席側ドアのハンドルにも「赤いライン」。
ファブリック素材のシートにも赤いステッチが多用されています。
少し珍しいのがシートベルトの中央にも「赤いライン」が走っている点。少し「多すぎんじゃないか?」とも感じましたが、グレードの印象を追求したのでしょう。
「航空機のコックピット」をイメージしたという大きめサイズのサイドブレーキレバーにも赤いステッチ。
それではLet’s高速試乗へ
試乗車の”見た目チェック”は早々に切り上げ、夕暮れにかかる大阪湾沿いの高速道路へと早速試乗開始。
「Test Drive Car」と貼られた運転席側ドアを開けて早速乗り込みます。
会場を出てすぐの高速入り口から阪神高速湾岸線へ。
一般的な試乗では販売店の周りす少しぐるっとするだけという印象ですが、実際に車を購入した暁には高速道路での使用もありますし、時速80km以上などの高速走行時の印象は下道を40〜50kmほどで走るだけではわかりません。
そういう意味でも高速道路での試乗機会は貴重ですが、わざわざその機会を知られるためのイベントを行いのですからプジョーは「2008」の高速性能に自信があるのでしょうね。
Leo的チェックポイント
今回の高速試乗にあたり僕が知りたかったことはこれ。
- 高速時の安定性・静粛性
- クルーズコントロールの使い勝手、性能
- 追い越し時の加速
高速試乗なので当たり前ですが、スピードが出ている時の安定性や室内の静かさはチェックポイントです。
感想としては車重の割に安定していて、道の継ぎ目なんかもそんなに気にならず、ドライバー以外も心地よく乗っていられると感じました。プジョーは元々長距離運転時の座り心地やドライブフィーリングには定評があるのでそこが変わらず安定感があったのはよかった点です。
室内の静かさも合格点でしょう。特に外の音が気になるという車に乗ったこともないのでこれで最高なのか及第点なのかわかりませんが、自分が必要とする水準はクリアしているなと感じました。
続いてのポイントが”クルコン”、つまり「クルーズコントロール」ですが、アメリカでは高速道路乗ることが本当に多く、ボク的にこの装備の有無はもちろん、その性能は結構大事だったりします。日本で乗る前提の車ですが、せっかく新しい世代の車を買うなら装備として欲しいし、その性能、操作性は気になりました。
しかし残念ながら、率直な感想として「がっかり」でした。ステアリングホイールとは違うレバー部での操作となる「2008」のクルコンはこれまで10車種以上でクルコンを使ってきたボクの知る中で一番使いにくかったかも知れません。。また、最新トレンドの一つである「追従型」のクルコンではないのもマイナスポイントですね。
最後に追い越し時の加速性能ですが、110馬力のエンジンにしては十分だと感じました。SUVスタイルの車でスポーティーな走りをどこまで求めるかという話になると、本当に、これで十分。そう感じました。
その他の感想としては、小径ステアリングはやっぱり慣れれば「こっちの方がいいやん」と思える設定だと感じましたし、そのハンドルもきびきび反応します。これは好印象。同クラスの他車種ではJeepの「Renegade」(レネゲード)くらいしか高速走行を試せたことがありませんが、「Renegade」と比べた感想では「2008」の方が断然運転フィーリングは上だと感じました(クルコンの操作性は「Renegade」の方が上)。
SUVなのでアイポイントも高く見晴らしがいいのでホールド感高いシートと相まって長時間、長距離の運転もしんどくないだろうな、と感じましたし、広い意味で「十分な車」という印象でした。
試乗しての総評・まとめ
車を持つことは人生の”プラスα”です。あれば恩恵は受けられますが、なくても死ぬほどではない。
でも、やっぱり車は楽しいし、下手をしたら”死ぬことがある”かも知れない車必需国のアメリカ生活が長いボクにとってはやっぱりそこそこ必要なツールの一つだと思っています。
車選びにおいて重視するポイントは色々で、人によっては欲しいもの全てが得られる車なんて存在しないかも知れません。
ボクは「どうせ乗るなら、運転するなら楽しい車」がいいなと思っていて、ある程度の実用性とか、経済性は妥協できます。
そういう観点で色々な車を見てきた結果、今一番気になっていたのが今回試乗した「2008」でした。
そんな中で今回試乗させてもらい感じたのは、「微妙に物足りない」というものでした。残念ながら。
初期グレードの「Cielo」に設定されていた内装はブラウンでした。実にフランス車らしいオシャレなもので、最初にこれを見たとき、本当にときめきました。
フェイスリフト後、おそらくSUV感を出すためブラックのみの内装になったのでしょうが、ボクにとってはこれも結構痛いマイナスでした。
プジョーは、世界的に高評価のディーゼルエンジンを持っていて、このクラスの車種に導入するととても良さそうなのに日本では設定がない。今時スマートキーじゃなくて差し込む鍵。20万もするのに使えないナビ(操作性の問題)。追従機能がないアクティブブレーキなどなど。新登場と認識するにはちょっと。。。というのが正直なところでした。
このクラスの車種が欲しいなーという思いは強いのですが、「うーーーん」プジョー車は本当にかっこいいし、基本的にはどこのメーカーよりも好きなんですけど、投資に対して得るものどうなのかなーとか思ってしまうのでまだもう少し他も見ながらじっくり検討したいと思います。