文化庁「国語に関する世論調査」の結果をみて想うこと

こんにちは、一応日英バイリンガルを自称するLeoです。

バイリンガルとは言っても、日本語が第一言語、10代に英語を習得し、20代にさらに磨きをかけた経緯から、基本は日本語、英語”も”話せるというのが実情です。

そのため、例えばディベートのような言語を基本装備として戦う場では圧倒的に日本語の方が自分の感覚としての「強さ」を感じられるし、逆にいうと、英語を使用して戦う場合「弱さ」を感じてしまいます。

そんなボクは、日本語の方はそれなりに自信があり、そして、敬語はもちろん、正しい日本語を使えるということを常日頃意識しているつもりです。

ブログを書くときももちろん言葉は慎重に選んでいるつもりですし、そもそも、人に読んでもらう前提の文章を書くわけですから、美しく、読みやすく、間違いのない、誤解を招きにくい書き方ができることを大事にしています。

「国語に関する世論調査」について

さて、この記事を読んでいる方は部課長が実施している「国語に関する世論調査」について検索された結果ここにたどり着いたというケースも多いのではないかと思いますが、

部課長が平成7年から毎年実施しているこの調査、結構興味深くて、今回はそれについて書いてみようと思いました。

調査目的・方法等

調査については、こちらでpdfをゲットできますが、概要を紹介します。

(image: 上記pdfからスクリーンショット)

調査対象が16歳以上とあるので高校1年生相当の年齢以上の男女で、そのうち有効回答数約2,000人の回答が情報源となります。

16歳以上とあるだけで年代の分布や男女比などはわかりません。

上記対象者は、13個の問いに回答しています。

Leo的気になったトピック

全部で13個の問いがあった様ですが、その中からボクが興味深く感じたトピック(項目)について順に語っていきます!

Topic 1: 外国人とのコミュニケーションについて

まさに新型コロナ感染が拡大するタイミングで実施されていた調査ですが、ビフォーコロナの日本では気になったトピックです。

一番多い回答が、「身振り手振りを交えて話す様にしている」、つまりボディーランゲージと呼ばれるやつで、これが51.3%と半数の人が回答しています。

次点で、「英語などの外国語を使って話す様にしている」という回答が44.7%あるのはインバウンドが浸透した日本で英語でコミュニケーションを取らなければならないシチュエーションが増えた流れがあるかも知れません。

ほぼ同じ、43.7%の回答があったのが、「やさしい日本語でわかりやすく話すようにしている」というものですが、まあ、郷に入っては郷に従えという考え方で行くなら、優しく話すけど、日本語で接するというスタイルも頑張って英語を使うというのと同じくらいの方がイメージしているということでしょう。

これ以外にも日本在住外国人に関連する質問が続いているのでコロナがなければ結構ありがたい情報に見えるのですが、、、、コロナの影響で外国人と接する機会は激減している人が多いと思うので、調査のタイミング、、、、ってやつですね。

Topic 2: 新しい表現(スラング的な)について

これは、世代という要素も大きく関係するものだと感じますが、「〜活」や「〜ハラ」など、最近増えた表現などについての意識調査は興味深かったです。

「〜活」は、昔からあったものとしては「部活」(クラブ活動)や「就活」(就職活動)があげられますが、最近は、「婚活」や「妊活」、「朝活」、そして「パパ活」なんて言葉もどんどん増えていっていますね。

乳酸菌などおなかの調子に気遣う食生活を「菌活」というのを聞いたときにもう、なんでもありやな、って思いました(笑)。

「〜ハラ」も、昔からあったのが「セクハラ」だと思いますが、もう今のバリエーションはついて聞けません。「モラハラ」、「パワハラ」くらいまではよかったですが、「アルハラ」、「ジェンハラ」、「スモハラ」、「マタハラ」、、、、もう、これもなんでもありですね。

Topic 3: 慣用句の意味

これがやっぱり一番興味深いトピックですが、日常的に聞くことがある慣用句の意味、果たして思っているのであってますか?ってやつです。

今回の調査では、

  • 手をこまねく
  • 敷居が高い
  • 浮き足立つ

以上の3つがあげられていましたが、いかがですか?意味、わかります?自信あります?

ボクは、2つ目の「敷居が高い」について間違った認識だったことをこの調査の結果で知ることとなりました!!!!!

敷居が高いとは、「相手に不義理などをしてしまい、行きにくい」という意味が正しく、しかし、56.4%の人が「高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい」という意味と思っていたようです!ボクもこれでした。。。。

正しい方で認識できていた人は29%で、約10年前の調査から13%も減っている様です。

ボクの感覚ですが、ドラマや漫画などでも間違った方の意味合いで使われていることが度々あるのではないかと思っていて、そういった影響でそちらを覚えてしまっているのではないかと思っています。

また、ボクは正しい意味で認識できていたのですが、3つ目の「浮き足立つ」が、「喜びや期待を漢字、落ち着かずそわそわしている」という間違った認識だった人が60.1%もいたというのは驚きました!

正しくは、「恐れや不安を感じ、落ち着かずそわそわしている」ことなんですが、多分、「浮かれる」的な言葉のイメージとリンクさせてワクワク的な意味の言葉と思われているのではないかと予想しました。

ボクは、「地に足つかない」という関連の言葉と合わせて、ビシッと落ち着いていられない状況・心理的なイメージで頭にあります。

Topic 4: 慣用句の歪み

トピックをわかる必要がなかったかも知れませんが、こちらは意味を間違っていることも関係するとは思いますが、「的を射る○/的を得る×」の様な、ちょっとどこかで言葉が変わってしまった感じの誤用についてです。

  • 「今までのことを改め、最初から始めること」
  • 「前に負けあた相手に勝つこと」
  • 「よくわかる様に丁寧に説明すること」

以上の3つについて、なんて言いますか?という質問です。

上から、「新規まき直し」「雪辱を果たす」「噛んで含める様に」が辞書の上では正しい言い方ですが、

それぞれ、「新規まき返し」、「雪辱を晴らす」、「噛んで含むように」という誤用が多く見られるようです。

ボク的には二番の「雪辱を果たす」の誤用はよく見るかなと思いますが、そもそも、「雪辱」とは「辱を雪(すす)ぐこと」を指す言葉なので、「雪辱なるか?!」みたいな言い方もよく再戦前などに聞くように、それ自体ができる・できないという対象なので、晴らす対象じゃないんですよね。

晴らすっていうのは、すでに雪いでいる(洗い清めている)ので変なんですよね。

この誤用は、「屈辱を晴らす」との混同とされていますが、ああ、日本語って難しい!

誤用の多い日本語

ということで、以上のように2020年、令和2年度の調査ではごく限られた慣用句が取り上げられ、果たして日本人のどれくらいが誤用していて、どれくらいが正しい意味を知っているのか?使えているのか?というデータが採取されたわけですが、これ以外にも有名な誤用は多いのでついでに紹介しておこうと思います。

1. 的を射る

さっき書きましたが、「的を得る」と誤用される有名なやつ。

「的確に用件をとらえること」の意味で使われる言葉で、文字通り、的を正確に射抜いたイメージな言葉なんですけど、なんか、「的を得てますね!」みたいによく耳にします。

多分、「要領を得る」という言葉との混同だと思いますが、

流石に使われる割合が大きくなってきている今、人によっては許容する派も増えているようで、辞書によっては正しい言葉としているものもあるそうです。。。

言葉は通じればいいという考えもあるので、

「全然平気」みたいな感じでそのうち正しいという方がスタンダードになるかも知れませんが、現状、誤用として紹介します。

2. 物議をかもす

これも多い気がします。「物議を呼ぶ」という誤用です。

「世間の議論を引き起こす」という意味ですが、確かに?

かもすというよりは呼ぶ方が議論が引き起こされたっぽいっちゃぽいです。

が、正しいのはかもすです!

3. 熱に浮かされる

これなんかはもう、「熱にうなされる」の方が市民権を得ちゃっている気がしますが、正しいのは「熱に浮かされる」で、夢中になってのぼせ上がっている状態をさす言葉ですね。

熱があったらうなされることもあると思いますが、間違いです。

4. 足をすくわれる

これも多いのではないかと思うのですが、「足下(あしもと)をすくわれる」という誤用、しませんか?

卑怯なやり方で失敗させられるという意味ですが、考えてみるとそうですよね、足下をすくうってなんや?っと(笑)。

足をすくって、転かすのですよ。

2018年の調査も見てみた

平成7年まで振り返るには量も内容も多すぎますが、今回の結果を見たい流れでひとつ前の、2018年の調査にも目をやってみました。

今回と全然違う方向の質問が並んだ前回の調査にも面白いものがあったので合わせて紹介しておきます!

Topic 1: 「ゴミ」 or 「ごみ」?

なるほど!

カタカナは外来語や外国語に用いるのが基本ですが、確かに日本語に対しての表記でカタカナを使うこと、結構ありますよね。

その一つが、「ゴミ/ごみ」です。

調査では、73%の人が「ゴミ」の書き方の方が良いと回答していて4人に3人はカタカナの方がしっくりくる様です。

ごみについては漢字がないこともあるのかな?と思いきや、「ケガ/けが」についても61.2%の人がカタカナを選んでいる(漢字は怪我)のでそういう関係ではないかも知れません。

この調査では、回答から抽出したものをシンプルに紹介しているだけなので考察は入っていません。

つまり、なぜ73%の方がカタカナを選んだかという話題は掲載されていません。

だからボクはとっても気になった次第ですが、そういえば、ボクはこのブログを書くとき、一人称を「ボク」にしていることを思い出しました。

たまーに「わたくし」、「わい」、なども使っていますが、基本は「ボク」で行くと決めています。

「僕」や、「ぼく」ではなくカタカナなのに自分で明確な理由を認識できていません(笑)。

この辺、現代人が外来語・外国語以外にカタカナをあてる文化として機会があれば調べてみたいなと思いました!

Topic 2: 「一つ」 or 「1つ」

これ!

ボクも文章を書くとき定まらないやつです!

調査結果では、「一つ、二つ、三つ」が23.6%、「1つ、2つ、3つ」が66.3%の支持となっていて、倍以上の差で後者を好む人が多くなっています。

ボクもこの二択なら同じ選択になります。

が、

もっと好むのが「ひとつ」なんですよね。

字面として一番しっくりくるんです、なんででしょう?

同じく、「一人」、「1人」、「ひとり」の選択もあるかと思いますが、この場合はボクは「1人」が好きです(調査には入っていません)。

不思議ですねぇ。

シアトル生まれ、大阪育ち。6年前に独立・起業しましたが、コロナ禍で事業が大ダメージを受け、人生の方向転換に悪戦苦闘の日々です!とにかく、「ワクワク」に満ちた毎日を目指してできることから地道に頑張っています〜!