以前、先行プレビューイベントにも足を運んだマツダの人気SUV、「CX-5」。
初代発売から5年でフルモデルチェンジとなった今のマツダを支える屋台骨でもあるモデルが発売となり、営業マンから案内もいただいたので早速試乗してきたのでレビューします!
試乗前に聞いた新型のポイント
- サイズはほぼ前モデルのまま
- 今回はガソリン車も売りたい
- リクライニングやUSBポート設置で充電など後部座席への配慮増
- G-ベクタリングコントロール追加で走行性能向上
- ヘッドアップディスプレイ同社国内向け初搭載で視線移動現象
試乗に際して車について説明があることはありますが、今回の試乗で面白かったのが、まずは営業マンが運転し、その後運転を交代して試乗開始というやり方。
試乗車の前でまず、新型が変わった点についてレクチャーを受けました。
そこで聞かされたポイントが上記のあたりですが、印象としては細かいところ、隅の方まで手を届かせようとブラッシュアップを計った感じ。
サイズはほぼ同じ
サイズはほとんど初代と変えず、エクステリアデザインもシャープな印象を強める程度にとどめました。
ディーゼル推しではない
マツダはCX-3ではディーゼルのみとするなど、今のクリーンディーゼルブームを牽引する”ディーゼル推し”ブランドに感じますが、この新型CX-5ではガソリン車も売りたいとのこと。
乗り比べてみたので詳しくは後で。
後部座席が色々進化
すでに大受けだった先代なのでどこを変えて、どこを残すかは逆に課題だったのだろうと思いますが、最初に説明を受けたのが後部座席周りの話。
後部座席については従来22度の角度で固定だったものを、28度まで可変する仕様に。
後部席真ん中背もたれ部分を倒して出てくる肘掛内にUSBポートを設置し、後部座席の人もスマホなどを充電できる様にしたり、センターコンソール後部にエアコン吹き出し口を設置して後部席にも空調が行き渡りやすくするなどなど、後部座席に乗らないと気づかない様な細かいいろいろがブラッシュアップされています。
G-ベクタリングコントロール
今のマツダ一押し装備のひとつがこのG-ベクタリングコントロールですが、「運転が上手くなった」とドライバーが錯覚する様なもので、特にコーナーリングの際に外に体が振られない様重心移動をコンピューターがコントロールしてくれる感じのシステム(多分)。
そこをアピールするのが先に営業マンの運転に乗る理由のひとつで、コーナー部分で「ここで感じて欲しい」と説明を受けました。
正直、ON/OFFが切り替えられないのでその恩恵を比較で体感することはできませんでしたが、絶対評価として、「確かに外にかかるGは少ないのかな?」と思えました。
SUVタイプで特に威力を発揮するかもしれないシステムなのでCX-5だけにしかない装備ではないものの、大きなアピールポイントなのかもしれません。
ヘッドアップディスプレイ
北米で人気のCX-9では搭載されているヘッドアップディスプレイ。
ウインドシールドに速度やいくつかの情報を映し出すシステム。プラスティックの様な板が設置されることで同様システムが搭載される車種はこれまでもありましたが、マツダの国内向けモデルとしてはこのCX-5が初の搭載となります。高級車にはつけられることも多いので珍しい!とか最新!!という感じではありませんが、道路標識を読み取って制限速度も掲載されるなど、まっすぐ前を見て運転に集中できる様になるなかなかGOODな装備でした。
ナビ画面も含め、運転中の視線移動については設計者達が配置を色々考えるところだとは思いますが、このやり方は多くを解決すると思うので今後新型車の標準装備になっていくんじゃないかと思います。
試乗レビュー(ディーゼルモデル)
さて、そんなこんなで運転を交代してもらい試乗開始。
乗った感じの印象はサイズ感が同じなので先代と特に変わったところは感じない”しっくりくる”感じ。
しかし、プラシーボーかもしれませんが、ディーゼルなのに相当静かに感じました。
静かなディーゼルに「すごい!」
先代よりさらに静粛性がUPしていると思われ、ディーゼルモデルに乗っているだけだったら言われなければガソリン車であることに気がつかないかもしれないというレベルです。
のちにガソリンモデルに乗ったため、確かにガソリンの方が”より”静かだなとは思ったものの、ディーゼルモデルであれだけ音が気にならないのはすごいと思いました。
最近欧州車のディーゼル推しがすごいですが、試乗してみたどのモデルもディーゼルならではの振動や音はまだまだ隠しきれていない印象だったので、その点でマツダのディーゼルはすごいな、と感じました。
ナチュラル・サウンドスムーザーという装備の恩恵もあるそうですが(解説は公式ページでどうぞ)、イヤイヤ、
いいね、SKYACTIV-D!
安定のドライブフィーリング
そこも含めたドライブフィーリングは「安定感」の3文字につきます。
SUVタイプならではの高いアイポイントと、デカすぎず、小さすぎずのちょうどいい具合のサイズ感が運転しやすく、ヘッドアップディスプレイのおかげで確かにまっすぐ前だけ見て運転できることから首や肩の疲労軽減も見込めそうに感じました。
ファブリックシートタイプでもシートヒーターが設定できたり、ステアリングヒーターもあるなど、高級車に近い装備が充実してきているのもマツダのプレミアム路線への舵きりを感じるところですが、鼻につく様な高級感の過剰演出はなく、国産車らしい程よい品質でそこは好感が持てました。
高級感なんかはグレードによっても違ってくるのだとは思いますが、”品のいい上質感”でまとめてきたのが新型CX-5かな、と思いました。
後部座席への配慮増は、ミニバン人気がSUV人気に移行してきた市場を意識しているんでしょうね?CX-5がファミリー層もターゲットにしていて、そうなると後部座席の質や満足度もより重要という感じだと思います。小さいお子さんだとチャイルドシートになりますが、そこそこ大きな子供や大人が乗っても快適に過ごせる空間づくりに注力しただろう痕跡を見つけられる車内です。
大きくなったセンターコンソールは微妙
一点だけ気になったのは、センターコンソールの肥大化。
言い分としては手の届く範囲に全部まとめたり、収納力がどうのというところな訳ですが、センターコンソールが横に大きくなったため、足スペースがちょっと窮屈に感じました。
173cmくらいのボクですが、運転中、特にクルコンを使う長距離航行の時なんかは結構ガニ股に座るのでもう少し横幅スペースが足元に欲しいんですよね。
コンパクトカーだったらそこは割り切りですが、1800mmを越す車格の車でそこが窮屈だと、「なんだかなー」と言ったところ。
ま、それ以外はいい感じにまとまった車に仕上がっていると思いました!
試乗レビュー(ガソリンモデル)
今回はガソリンモデルも売りたいという話もあったため、乗り比べませんか?ということでディーゼルモデル試乗直後にガソリンモデルも試乗しました。
ガソリンモデルの印象は、ディーゼルモデル直後だったので、「やっぱりガソリンはスムースだねー」と言った感じ。
走りについても2.0リットルモデルでも十分スムースにスタートし、全体的にムラがないすっきりしたフィーリングの走りに、「まあ、これが車だよね」という感覚になりました。
ディーゼルは普段乗っていない人は微振動や音が従来のガソリンモデルとの差を感じさせ、”パワフル感”はあるものの、例えば街乗りの場合はちょっとミスマッチな印象になるのかな、と、ディーゼルモデルに乗った時は思わなかったけど、ガソリン側に乗ってそう思いました。
どうしても「CX-5を買うならディーゼル!」というイメージが強いと思いますが、初期投資も少なく、多くの方が慣れ親しんだドライブフィーリングであるガソリンモデルもありなのかもしれません。
ディーゼルか、ガソリンか、選ぶポイント
乗り比べてみて、その違いは感覚的には感じたものの、じゃあ実際CX-5を買おうと決めた場合、果たしてどちらを選ぶべきかという問題が発生するな、と思いました。
どこのメーカーも同じでしょうが、ディーゼルとガソリンが設定されている場合、
- ディーゼルの方が燃費良く、燃料代も安いが購入時の車体代が高くなる。
- 年間10,000km以上乗るなら燃料代で価格差はペイできる。
- 低回転からバワーが出る走りはディーゼルの売りポイント。
- 坂道を登る時のパワー感はディーゼルならでは=登らない人にはメリット減。
だいたいこの辺を総合的に考えて、自分にはどちらがメリット多いかを考える感じになると思います。
例えば、住んでいるところが山の上という人。
これはディーゼル検討の価値大有り。
雪が降るエリアという人もそうですね。
逆に燃費メリットだけに惹かれて、もしくは、エコっぽい印象などに惹かれた、しかし走るのは平坦な街中が多い、距離もそんなに乗らない想定。こんな方はガソリンモデルの方が合うかも。
ディーゼルは新トレンドだし、エコカー減税も(今は)受けられるし、新しいもの好きなボクみたいな方は気になる存在だと思いますが、ガソリンモデルも併売されるには理由があって、やっぱりそれぞれメリット、デメリットがあるので自分に合った方を選べるよう、自分が求めるものをまとめてから試乗するのもいいかもしれませんね。
総括 〜うーん、パンチが…〜
ということで、ディーゼルモデルは通常ルート、ガソリンはショートコースで試乗させていただいての感想は、
「よくまとまった、安定感ある正常進化モデルだ!」
こんな感じでした。
先代が十分売れるモデルだったのもあり、奇抜で目立つ新要素は少ない中、デザインや装備をブラッシュアップし、より販売力を高めたいといった印象のフルモデルチェンジ。
しかしながら、”パンチ力”がないかなというのが総合評価に加わってしまいます。
国産モデルなら仕方ないのかもしれませんが、トヨタの「C-HR」はいろいろ度返しに、しかしパンチ力ある商品として世に出たと思います。
トヨタほどの販売数が見込めないマツダだからこそ、そういう要素を含んだクルマ作りって、しないのかなーと思ってしまった感じです。
ボクが気になって仕方ない「ロードスター」ではそこがかなり高い次元で実現しているため、あの車に関して、もう、見るだけでトキメクんですが、CX-5は残念ながらそういう車には仕上がらなかった様です。
- 「現実的に」という範疇でよくまとまっている
- バランスも取れていていると思う
- ドライブフィーリングも洗練されている
- 高級ブランドに負けない品質や装備も充実
…どこも悪いことはないのですが、ボクはどうせ買うならトキメキある車にしたいかな?ということで、いい車ではあるんだけど、次の車候補には…多分入りません。
やっぱ外車じゃないとトキメキって難しいのかな?とりあえず近々C-HR見に行こう。
以上。
CX-5公式ページ
※この記事に掲載の全画像は公式ページよりの出展です。