昨年夏公開ながら大ヒットによりまだまだ映画館で上映中のロングランアニメーションムービー、「君の名は。」を遅ればせながら初観賞してきました!
何度か観に行こうとしたんですがその度上映時間のタイミングが合わなくて、やっと観ることができたという感じなんですが、これだけの話題作をこんなに遅れて観ることになったのは、我ながら失態失態。
すでに多方面から多角的にレビューが繰り返されている本作ですが、ボクなりの感想を”ログ”っとこうと思います。
MoKuJi
基本情報
題名:「君の名は。」(Your Name.)
公開日:2016年8月16日(日本)
監督/原作/脚本:新海誠
上映時間:107分
配給:東宝
http://www.kiminona.com
2016年国内ナンバーワンヒット映画
君の名は。は2016年興行収入ランキングで2位の「スター・ウォーズ エピソード7 フォースの覚醒」にダブルスコア近く差をつけてのトップとなりました(2016年12月25日時点での興収213.3億円)。
興行収入とは映画のチケット代から産出されるもので、IMAXや3D鑑賞が多かったと予想されるスター・ウォーズとこれほどの差をつけたのは、スター・ウォーズが2015年12月から上映されていたことを差し引いても驚きの結果に感じます。
多くのリピーターも生んでいて公開から4ヶ月以上経った今尚劇場公開中で最終の興収はさらに伸びそう!
ストーリー(あらすじ)
1,200年ぶりとなる彗星の来訪を控えた日本。岐阜の山奥にある田舎町で暮らす女子高生の三葉と、東京に暮らす男子高校生瀧は、夢の中でお互いが入れ替わるという不思議な現象を経験する。
決して会うことのない二人はお互いスマートフォンにメモを残すことでコミュニケーションをとりながら関係を深めていくが、ある時突然入れ替わり現象が起こらなくなってしまう。
天空を彩る巨大彗星と交錯する二人の想いは衝撃的な未来へと紡がれていく…!
直感的な感想
高校生のファンタジックで且つロマンティックな物語を30代のおっさ…お兄さんは暖かい眼差しで見つめました(笑)。
会ったコトのない赤の他人の男女が入れ替わるというSF設定ながら、”夢の中で入れ替わる”という追加要素がただの空想科学から恋愛物語へ昇華させた様に感じます。
物語の冒頭から少しずつ入れ替わりとそこから起こる数々の”奇跡”を目の当たりにしながらも二人の関係が深まることを願ったり、でも、遠く離れたどこの誰かもよく知らない二人が行き着く未来を案じるという観るものの心理にちゃっかりハマった気がします。
最初は、うん。加速度ありでとても良かったと思います。
ただ、総合的に観終わっての感想は「少し長すぎた」でした。
そう感じた理由はきっと何度か観ないとわからないと思いますが、頭から糸守町が彗星で消し飛んだとわかるところまでのいいスピード感が、その後持続されれず、そして間延びしたくせにいくつかの疑問を放ったらかしたままエンディングを迎えたのがポイントかと思います。
主人公の名が…!!!
よく同じ名字を見かける人にとってはこんな事で何も思わないのかもしれませんが、、、
ボクは「宮水」という字面が画面に出てくるたんびになんか「どきっ」としてしまいましたよ(笑)。
宮水
と
宮永
ぱっと見似すぎです。
まあそれだけなんですけど、
主人公が二人とも名前と名字が「み」やみず「み」つは、と「た」ちばな「た」きって、同じになっているのは何か意図あってのことなのかなーとか考えちゃいました。
答えが示されなかった疑問点
瀧が入れ替わる相手だったのはなぜ?
ボク的に最大の消化不良はこれ。
三葉が夢で入れ替わる現象を体験してきた母や祖母を持つことは物語中で語られました。それが何故起こるのか(起こったのか)、母や祖母の体験と三葉のそれはどれくらいの近似値なのか、その辺は語られませんが、まあ、巫女さんになってなんか神々しい儀式をやる一族ですから、何らかの”力”を宿す家系なんだと勝手に理解すれば納得には足ります。
しかし、その三葉が、何故3年も未来の瀧と入れ替わるのかが全く語られなかった気がします。
三葉時間の時点ではまだ中学生の瀧少年と繋がるでも、その時点で同年齢の誰かと繋がるでもなく、3年後に同い年になっている未来の瀧少年と繋がった理由が欲しかった。
未来の人だから隕石の結果を知っていて、三葉に警告できたというのがありますが、1年未来の人でも言い訳だし、何あら数ヶ月先を行く人でもいいのに…?
瀧も三葉同様母親不在な感じがしますが、そういう地味な設定があるんだからあと一言加えてなんか納得できるものが提供されても良かったなーと思ったのはボクだけでしょうか??
どの時点で時間がズレていることに気がついた?
お互いiPhone(らしき端末)に日記をつけることで代わりに過ごした時間を補完しましたが、日時は同じ様に流れている様子に見えました。しかし、3年ズレているということは、曜日が違うはず。
瀧(in 三葉)が奉納に行った日、制服で降りてきたのは瀧の時間(3年後)では平日だったからだと予想します。
また、テレビのニュースであれだけ彗星のネタをやっているのを見ているんだから「あれ、これって3年前のあの彗星じゃ?1000年に一度のやつじゃないの?」と疑問に思い始めておかしくないと思うので、普通に考えたら3年ものズレはすぐに気がつくと思います。
ボクはそれに気がつく訳ではなかったのですが、瀧のiPhoneらしきやつが「iPhone 6」っぽいデザインなのに対して、三葉のらしきやつが「iPhone 5」っぽかったことに気がついて、「田舎の人は最新に執着しないという演出なのか?」とか思っていました。
仮に瀧が「iPhone 6s」(2015年発売)で、三葉が「iPhone 5」(2012年発売)を持っていたのだとすれば時間の幅は合致します。
まあそうだったとしたら瀧は「こいつのiPhone指紋であかねー、めんどくせーなー」と毎回煩わしく思ったことでしょう(笑)。
逆に三葉は、3年分進化したiPhoneを体験してるんですから、女子でも興奮したんじゃないかなー?
だって、3年前の女子高生に「SNOW」を与えたらすごい興奮すると思うし(笑)。今から3年先のiPhone(8s?)とか想像もつかないよ!
ということで、三葉にとっては憧れの大都会生活は、実は3年先の未来生活を楽しむ時間でもあったんですね。
三葉の父親は”入れ替わり現象”を知っていたのか?
もう一つ気になって禿げそうになったのが、三葉の父親が娘や亡き妻、そして義理の母親などが体験してきた入れ替わり現象を知っていたのかということ。
隕石が落ちる日、瀧が入った三葉に対して、「お前は誰だ」と訪ねたシーンがそれを思わせます。
明らかに言動が自分の知る娘と違うから、という説明をする人もいるみたいですが、久しく一緒に暮らしていないと思われる親娘の関係で思春期真っ只中の娘がちょっと変なことを言っていたり、行動がおかしいくらいでそんな中身が誰か知らない人になっちゃったなんてSFちっくな妄想するわけない。
若くして妻を亡くし、神に仕えても無意味と政治家に転身したとされるパパンと若くして亡くなる事になってしまった二葉ママンに一体何があったのかと。
どうやらこのあたり含め、「君の名は。 Another Side:Earthbound」という小説で語られることもあるそうです。
この小説は、
- 三葉と入れ替わっている時の瀧
- テッシー
- 四葉
- 三葉の父
という4つの物語、4人の視点で語られるらしく、最後の父の部分で色々と過去の話も含めて明かされているそうです。
ただ、もしこの小説にこれらの疑問が解消される様なことが書かれているとしても、107分の中に入っていなければボク的には無意味なので、映画を観ての感想としてはこれらの疑問が湧いてきて、エンディング後、忘れ物をしてきた気持ちになったというわけです。
出会う時期はもうちょい早くても良かったかな?
入れ替わりが起こっていたのがそれぞれ高校二年生の時期だと思われますが、二人が再会するのは瀧が大学4回生の22歳、三葉が25歳ごろと考えられます。
瀧にとっては入れ替わりがあった時期から5年後、三葉に至っては8年後にやっと再会という話でした。
再会までの期間が長ければ長いほどドラマチックではあるのかもしれないものの、ボク的には”遅すぎる”と感じました。
町が消滅した事によって東京に出てきたと推測される三葉。
人口密集地で、瀧のことを忘れるなか、「ずっと何かを探してる」という想いだけで恋愛をしないとは考えられません。大学に進学したかは定かでないものの、8年もあれば言い寄られることもあれば、新たに誰かを好きになることも絶対あるはず。
瀧にとっても同じ。
二人とも探している何かが、「誰か」なのか「何か」なのかすら思い出せないのですから、自然と惹かれ会う他の誰かと恋愛していてもぜーーーん然不思議ではない。いや、むしろない方が不自然!
でもそうなると、あんなにドラマチックに、ファンタジックに、ロマンチックに結ばれた二人が、お互いのことを忘れ、他の誰かと恋愛をし、なんなら抱いたり、抱かれたりしていたと考えると、萎えぽよ指数マックスです。
まあ、綺麗な物語と思うために、三葉は”なぜか”8年も誰にも好意を寄せず、想いを持ってくれた殿方を退け続けてきたガール。瀧も、大学生という多感な時期に恋愛とは一切接点のない4年間を過ごしてきたDTボーイ。だったという事にしましょう。
※ちなみに上画像のシーンは、映画にはないんですよね。最後の電車を降りてお互いを探した結果出会う階段の場所っぽいんだけど、その時点でもう大学生と社会人だから。このビジュアルの意味も色々考察があるっぽい。
RADWIMPSは、しつこくなかったよ
事前に何回か観た映画の評価の中に、RADWIMPSが担当した音楽が「しつこかった」という声がありました。
まあ確かに、しょっぱなから挿入歌含めずーっとRADWIMPSが流れるので、得意じゃない人にとってはうっとおしくも感じられるのかもしれませんね。ボクは特にRADWIMPSを好きとか嫌いとかないんですけど、そんなにしつこくは感じませんでした。
映画と同時に話題になった「前前前世」がもっとゴリゴリに流れるのかと思っていたので逆に少なく感じたくらいでした。
映画を見終わって、サントラを借りに行こうと思ったくらいですので、音楽は良かったと思います。
感想まとめ
- 前半の加速感、スピード感は良い
- ファンタジックでロマンチックな高校生の恋愛におっさ…おにさんキュンキュン
- 後半失速、間延び感ありのくせに語られないことが結構あった
- 3年の差を気づいていたの?いないの?瀧と入れ替わった理由は何?モヤっと!
- しつこいという人もいるけどRADWIMPSはマッチしてた
- まあでも総合的には面白かったわ
ということで、107分が少し長く感じてしまったこの映画ですが、美しい映像も含め、映画館の大スクリーンで見ることが好ましいと感じさせられる作品だったと思います。
最近では「ローグ・ワン」を観終わったあと、即座にもう一回観たい!と思わせられましたが、この作品もそれほどまでではないものの、自分の理解が悪いだけで解決できなかった疑問点もありそうだし、またもう一回大スクリーンで観てもいいかも、と思わせられました。
小説を読む気にはなりませんが、ググったらアナザーサイドのネタバレもあったので、あと数日経ってもモヤモヤが晴れなかったらネタバレが載っているサイトを漁ろうと思います!