今日は、フォトグラファーとしての投稿です。
今回は、「被写界深度」と「マクロレンズ」、そして「圧縮効果」ついて、Leo的目線でお話ししようと思います。
デジタル一眼が広まりまくった今、これらについての情報はネットでもたくさん出て来ると思いますが、ボクが定期的にギャラリーでやっているレッスンでお話しすることも多い話なので実際の写真と合わせてご紹介します!
被写界深度ってなんやねん?
なんか、知らない人にとっては「難しいやつ出たで」と構えてしまうかもですが、結構シンプルな話です。
英語では「Depth of field」と言いますが、日本語で「浅い」から「深い」と表現するもので、簡単に言い換えると、ピントが合う範囲の狭さ(広さ)のことです。
はい(笑)
このやっつけの絵でわかりますでしょうか?
ピントの合う範囲の「深さ」、「浅さ」については「F値」というもので表現します。
Fの後につく数字が小さければ小さいほど浅くて、大きければ大きいほど深いことになるので、上の絵では、F4という数字では花の全体にピントが合わない感じで、F5.6になると全体がくっきり写るというイメージなのですが、伝わるでしょうか?(笑)
そして、ピントの合わない部分は「ボケる」と言って、ピントが合っている場所から離れれば離れるほどそのボケ具合は大きくなっていきます。
もういっちょ(笑)
人物撮影の時を想定した絵ですが、ポートレートでは、人にぴったりピントを合わせて、前後がボケる様に撮ることが多いです。
これは、背景をボカして人物を際立たせるためですが、アップの写真になるとさらに「目にだけピントを」とかして、全体を”ふわっと”した感じに撮ることも多くなります。
そうすることで立体感が演出できたり、女性ポートレートの場合ふんわり、優しいいい感じの雰囲気に仕上がります。
この時点ではなんとなくわかっていただけたらオーケー。
とりあえず、これが被写界深度です。
マクロレンズとは?
続いてマクロレンズですが、定義は若干曖昧なので、ボク的な位置付けとしては、「等倍で撮れるレンズ」ということにして説明します。
等倍というのは、撮像素子(フィルム)と被写体のサイズが1:1の関係になること。
わかりにくい人は、「とりあえずめっちゃ寄れる」とか、「とりあえずちっさい物もめっちゃ大きく撮れる」とか思ってくれればオッケーです。
マクロレンズが登場するシーンは、「お花」が多いかな、と思います。
こちらの一枚は等倍までクロースアップして撮影したお花ですが、直径2cmもない小さな花です。
F2.8という”浅い”被写界深度でとっているので、花弁の前後が綺麗にボケています。
同じ花が植えられている鉢を”寄れない”普通のレンズで撮影したのがこちらです。マクロレンズがどれだけ近くまで寄れて、そして大きく被写体を撮れるかがわかっていただけるでしょうか?
2つの異なるレンズで比べてみる
さて、それでは続いては、2つの異なるレンズで比べてみましょう。
ひとつは「PENTAX DA40mm F2.8XS」という通称ビスケットレンズ。めっちゃ薄くて小さいのに、F値が2.8からと明るいレンズで、写りも素晴らしく、普段使いにはだいぶ気に入っています。
もうひとつは「Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO 1:1」。名前の最後につく”1:1″が等倍で撮れる証明です。名前に「MACRO」と入っていてもたまに1/2とか1/4までしか寄れないレンズもあるので注意が必要です。
PENTAX DA40mm F2.8 XS
写真で比べてみるとサイズの違いがわかりやすいかと思いますが、上がPENTAX DA40mmXSで、下がTamron 90mmマクロです。
Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO
横に40mmを置いてみたのでその大きさの差がわかりやすいかなと思います。
サイズが違う理由は多々ありますが、今回その話はすっ飛ばして、実写写真で見比べてみることにしましょう。
まず、こちらが40mmのレンズで撮ったツツジです。F値は2.8で一番「浅い」ので、手前のピンクの花弁や奥の方がボケているのがわかっていただけると思います。
手持ちなので若干絵がずれていますが、F8まで絞ると奥の方がくっきりしてきているのが見てわかると思います。
そしてさらに絞ってF16までいくと、全体がくっきりしているのがわかると思います。
画面を上下に動かして比べてみたらその違いは一目瞭然だと思います。
今度は同じ場所をマクロ対応の90mmのレンズ、Tamron 90mmマクロで撮影しました。同じくF2.8からですが、同じF値でも画角が違うとボケ方が違うのに気がついていただけるかと思います。
これは、「圧縮効果」のなせる技なのですが、これについては後述します。
40mmの時と同じくF8まで絞ると奥がくっきりし始めます。
もちろんF16まで来るとほぼ全体がくっきり、ピントが合っている画になりますね。
圧縮効果って何?
圧縮効果というのは、望遠になればなるほど写っている被写体が圧縮されて、距離感がなくなることで、圧縮される度合いが高くなると遠くのものと手前のもののサイズが近づき、遠近感も変わって来る、そういった現象です。
ちょっと文字だけじゃわかりづらいので図を作りました(結構めんどくさかった笑)。
解説しますと、3台ならぶカメラはそれぞれ、広角、中望遠、望遠という異なる画角が写るレンズがついていて、下に並んでいる通りの写り方がします。
どれも、手前に青いA〜I、遠方に赤いA〜Iが並んでいるものを撮ろうとしていて、青いC〜Fを撮る場合に赤いアルファベットの変化で圧縮効果を理解していただくための図です。
見てわかる通り、広角で撮るとAもIもほとんどが写り、その分アルファベットのサイズも小さくなっていて遠近感も感じられます。
それに対し、中望遠や望遠レンズで撮ったものは遠方にある赤いアルファベットが大きくなっていて、もちろんその分AやB、GHIあたりが切れて行きます。
では、さっきの40mmと90mmでもう一度見比べて見ましょうか。
PENTAX DA40mm F2.8 XS
こちらが40mmの画角で撮ったくまちゃん。背景に注目してください。3、4枚の写真が写り込んでいます。F2.8なのでボケていますが、しっかり遠近感が感じられます。
Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO
対してこちらが90mmの写真。背景の緑に見える写真しか写り込んでいませんが、そのサイズ感の違いが一目瞭然ですね。
圧縮効果で期待できることとは?
ところで、この圧縮効果、先に書いた通り、遠近感を損なうという効果もあって、場合によっては喜ばしいことではありません。
では、一体どんな撮影の場合に圧縮効果は”使える”のでしょうか?
一番わかりやすいのはポートレート撮影です。
上のクマちゃんの写真でもわかる通り、背景が大きくなってくれることで、被写体の後ろに写る物の存在感が下がるため、被写体が際立つのです。
PENTAX DA40mm F2.8 XS
こちらが40mmの画角で撮ったくまちゃん。奥にあるツツジを覚えておいてください。
Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO
こちらが90mmです。見事にツツジが大きく写り、かつボケています。
結果、40mmの写真よりもくまちゃんが目立つ画になっているのがわかりますでしょうか?両方ともF2.8でほぼ同じ時に撮っているので条件の差は画角だけとなります。
まとめ
- 被写界深度とはピントの合っている”深さ”
- マクロレンズはおっきくクロースアップして撮れるレンズ
- 圧縮効果とは望遠になればなるほど遠景が圧縮されて距離感がなくなる現象のこと
いかがでしたでしょうか?
今回は大きく分けて3つのことを紹介しました。
レンズ交換式カメラを使う喜び(楽しみ)というのはそれぞれのレンズの特性を活かした撮影ができることにあります。
写真の画が生まれる際にはシャッタースピードやF値、ISO感度など様々な要素が絡まり合います。それぞれの要素について理解して、”支配する”ことで写真撮影はどんどん楽しくなっていきます。
今日はそんな楽しみを部分的に感じてもらえたらなーと思って記事にして見ました。
誰かの楽しい撮影のお役に立てれば幸いです!