最近「ハイレゾ」という言葉をよく目にしませんか?
映像では「4K」推しがますます広まっていますが、音響ではこのハイレゾが今のトレンドキーワードっぽいです。
気になりますねー。
今日はそんなハイレゾについて意外な落とし穴や知っておくべきことなど、ちょっとまとめてみました!
ハイレゾってなに?
ハイレゾについては、SONYの解説ページがわかりやすいかなと思うのですが、ハイレゾとは、「ハイ・レゾリューション」(Hi Resolution)の略で、レゾリューションとは解像度の意味。つまり、解像度の高いものを指し、音に対してはハイレゾ音源、なんていう言い方がされていて、要するに「解像度の高い音源」のことです。
ハイレゾ=高解像度の意味で、ハイレゾ音源は音の情報量がCDの約6.5倍(*)あります。だからアーティストの息づかいやライブの空気感など、CDでは聴こえなかったディテールやニュアンスを感じ取れる、原音に近い音質なんです。* 192kHz/24bitの場合
(from SONYの解説ページ)
解像度というとデジタル写真を連想する人が多いかもしれませんが、音という目に見えないものに対して使うこの場合、イメージで思い浮かべるしかありません。ボクは、音の粒子が細かくいっぱい詰まっていて、より繊細で鮮明、クリアな音、みたいな感じでしています。
もっとも手頃なこのタイプで2万円くらい。
今は音楽もデジタルで聴く時代です。デジタル写真と同じで音もその圧縮率や圧縮法によって情報量が変わってきます。いっぱい圧縮すると音楽データが小さくなりますが、音が劣化する。写真もそうですよね?3,000万画素で撮ると、きめ細かい画像になりますが、メモリーカードの容量や画像の処理速度を気にする場合1,000万画素くらいで撮る方が都合いいです。
音楽も、ポータブルオーディオプレーヤーやスマホの容量を考えたら圧縮率の高い「MP3フォーマット」での保存がバランス良く、多くの人が使っていますが、非圧縮系フォーマットの方が音質が綺麗になります。
さきほどのSONYの解説ページにもありますが、CDですら音楽の全部を収録できていないことは、ライブやコンサートに行くと感覚的に知ることができますよね。
音が削られていくイメージ(from SONYのページ)
ハイレゾの魅力はこのCDですら切り捨てざるを得なかった音を残し、より深くて広い音を聴けることにあります。
保存メディアや配信技術(通信技術)の進化が実現する最新の音楽という感じですね。
音はいい方がいいに決まってる!けど…
今や100円均一でもイヤホンが買える時代ですが、高いものだと数万円するイヤホンもあります。
まさにピンキリです。
当然100円のものと比べてたら数万円のイヤホンの方がいい音がするに決まっているわけですが、だいたいイヤホンに使える予算って、5,000円くらいが限度なんじゃないかなーと思います。
ハイレゾを楽しむには高価なヘッドホンが必要となります。
そうなんです。
解像度が高く鮮明で気持ちいい素晴らしい音を実現するハイレゾですが、その音を奏でる道具もそれなりのレベルにあるものを使わなければならないのです。
高性能ヘッドホンで定番のMDR-1Aは3万円弱
家電メーカーがハイレゾを売りたい理由
家電量販店に行くと「ハイレゾコーナー」があることも多くなりました。
スマホでも「ハイレゾ再生対応」と謳うモデルもあります。
メーカーや販売店がこぞってハイレゾを売りたい理由はただ一つ、
単価が高いから。
先ほども書きましたが、イヤホンは100円でも買えるんです。
それしか知らなくて、それで満足していれば別にそれで十分幸せです。
iPhoneについてくるイヤホン、スタイリッシュで、白くていいですよね?あれで十分な人は十分だからこそみんなあれをつけているわけです。
APPLE純正イヤホンは300円レベル
ちなみに純正の付属イヤホン(通話機能付き)は税別3,200円ですが、Amazonだと1,500円くらいで売られています。
ただし、このイヤホンの音質は一般的な市販タイプの300円〜400円くらいのものと同等と言われています。
要するに安物です。
みんな使ってる白いイヤホン
なので、純正しか使ったことないという人は、騙されたと思って1,000円超えのイヤホンを使ってみてください。それだけで違いがわかるはず。
話が逸れましたが、そんな感じで1,000円ちょっとのイヤホンでも多くの人が幸せになれるはずなんですよ。実際は。
ですが、「ハイレゾ、すげーんだよ」、「今時ハイレゾで聴かないとか、損してますよ!」という風説を広めることでより上があることを多くの人に知らせ、単価の高いハイレゾ対応イヤホンを買わせることができたなら、、、という考えがあるのです。
写真も実は200万画素で十分
実際写真だって同じです。
L版に印刷するのに必要な解像度って、どれくらいだと思います?
キヤノンの公式サイトに書かれていますが、「1024×768ピクセル以上」、つまり、約80万画素あればL版印刷には十分ということです。これは最低必要解像度なので、実際はもう少し高解像度であることが好ましいですが、一般的には200万画素でもオーバーピクセルとされています。そう、たったの200万画素で、
ピクセル多すぎだよwwwww
なんです。
少し大きめの、A4サイズで印刷するとしても、1,000万画素で十分なんです。
ボクの様にさらに大きな印刷をする(作品として制作、展示、発売)人なら条件は違ってきますが、多くのユーザーがA4よりさらに大きな印刷をするケースって稀だと思います。
なのに、見た目の「スペック戦争」に勝てないと商品が売れないため、今やエントリーモデルでも2,000万画素近くあるのが当たり前になっています。
ハイレゾは本当に必要か?
「iPhone 7」購入に際して無線ヘッドホンについていくつか記事を書きましたが、ボクは”音響マニア”には程遠いものの”いい音で音楽を聴くこと”にはそれなりにこだわってきました。
いい道具を使えばやっぱり音はいいなと実感できます。
高いお金を出せばそこに近づけます。
しかし、先に書いた通り、低価格の道具を使っているからと不幸でもありません。
先日書いた格安Bluetoothイヤホン「Q12」の話でも、2,000円台のイヤホンに100円均一で買えるイヤーピースをつけただけで多くの人がすごく幸せになれるはずだと紹介しました。
- 【レビュー】格安Bluetoothイヤホン、SoundPEATS「Q12」は「iPhone 7」に最適な選択だった!
- 【レビュー】格安高品位BluetoothイヤホンSoundPEATS「Q12」はたった100円の低反発イヤーピースで飛躍的に音質アップする!!
ボクはBOSEのそこそこ値のするヘッドホンも持っていますし、10,000円近いイヤホンも使っていましたが、今は「カスタムQ12」で普通に幸せです。
実は、家電量販店やメーカーが「本当、いいんだって!」と訴求するハイレゾ音楽視聴には注意点、知っておかないと「騙された!」と感じるかもしれない”落とし穴”があるんです。
落とし穴1:対応機器GETは敷居が高い
ひとつめは上に書いた通り、ハイレゾを再生できる機器が限られていて、さらに高価だということ。
いい音を聴けるのはそうなのでしょうが、再生するための道具が必要で、例えばiPhoneは非対応なんです。
さらに、多くの対応機器は再生のための消費電力が高いため電池の保ちも心配要素になるなど、そんなに気軽に入っていける世界ではないのです。
落とし穴2:そもそも現状音源はダウンロード販売でしか手に入らない
さっきも書いた通り、CDより多くの情報が詰まったのがハイレゾ音源です。つまり、CD販売では対応できないため、現在は音楽サイトで購入→ダウンロードという入手手段のみになります。
そしてこのサイトにはそこまで豊かなラインナップがないというのがポイント。
せっかく高価な機器を揃えても、聴きたい曲が全部網羅されるというのは難しそうなのです。
ハイレゾ配信で一般的なFLACフォーマットをMacで扱うための方法はこちらの記事で紹介しています。
落とし穴3:そもそも多くの人の耳は聴き取れない?
最後のこれがボク的にはcritial(致命的)なんですが、そもそもCD音源や圧縮したものに耳が慣れてしまった私たちに高解像度の音楽が聴き分けられないんですよ!!
絶対音感の持ち主や、音楽家、コンサートに週3で通うような人ならわからないですが、多くの人の耳は圧縮されたよくあるMP3音源と、高解像度のハイレゾ音源を聴き比べてわからないみたいなんです。
テレビで芸能人が「100万のワインと1000円のワイン」を当てる、みたいなの見たことないですか?
GACKTは絶対当てますが、当てられない芸能人も多い。
それはなぜかというと、普段口にしているものが美味しく感じるから。
そうなんです、ボクたちは、日々の生活に調教されているんです。
だから、旅行から帰ったら
「アーーーやっぱ家が一番やでー/(^q^)\」
っていうんです。
高級料理店の三ツ星シェフの作るものより、ママンの作る味噌汁が一番美味しいんです。
いつもうん百円のイヤホンで聞いてた圧縮された音楽が心地よくて、何倍もの情報が詰まった音楽はなんか”無駄な音が混ざってる”とでも言わんかのような感覚で、心地よさを感じないこともアリエル、ということです。
つまり、ハイレゾ、ハイレゾ言いますけど、本当にみんなにとって必要かどうかといったら、
必ずしもそうじゃない
ということなんですね。
まとめ
- ハイレゾは、間違いなく最先端技術の結晶
- CDでも録音できなかった音を高解像度で収録
- しかし、聴くためにはおマネーが必要
- 販売店、メーカーの”ハイレゾ推し”はビジネスのため
- なので本当にみんなが幸せになるとは限らない
ボクも今までSACD(スーパーオーディオシーディー)を試したり、5.1chサラウンドにこだわったりと色々音響関係を楽しんできましたが、結果的に今、ポータブルオーディオとしては合計3,000円もしないイヤホンで十分幸せと感じています。
でも、オフィスにはBOSEの30,000円弱の高性能スピーカーを置いていて、こいつは数千円で買える安いスピーカーでは絶対実現できない質の音響をもたらしてくれていると投資に見合った幸せを享受しています。
販売店やメーカーの宣伝は巧妙です。
別に「詐欺やー」とは言いませんが、広告に踊らされるのはちょっと嫌ですよね?
いいものは、いい。それは間違いありませんが、しっかり自分に合ったものを選べる「審美眼」こそが人生を幸せにするために一番GETしなければいけないものなんじゃないかな?と思うわけです。
人それぞれ考え方や感じ方があると思いますが、ボクの「ハイレゾ」に対する認識はこんな感じです。
気になっていた方のお役に立てる情報になっていれば、幸いです。