GFX50Sと645Zを比べて来たけど、ミラーレスの恩恵はデカいなと実感しまくった話

先日も中判デジカメがにぎわい始めているという話や、先行していた「PENTAX 645Z」の後継モデルについての噂について書きましたが、今日は、”ミラーレス中判デジカメ”として話題の富士フイルム「GFX50S」とPENTAX 645Zをカメラ屋さんで比べて来たので簡単にレビューします!

孤高の頂へ…の「645Z」

2014年6月発売と、もうすぐ3年戦士となる645Zは、キャッチコピーである「孤高の頂へ」の通り、一般人が買える価格多大では唯一無二の存在でした。

従来の645マウントフィルムカメラでレンズ資産を持っているユーザーはそのまま同じレンズ群を使えるというメリットもあり、本格的な写真愛好家からプロユーザーまで取り込んで、それなりの活況を見せていたと思います。

デジタル対応のレンズは5本ほどリリースされていて、順次拡充予定です。

フィルム向けレンズ群があったことからデジタル対応レンズの登場ペースは正直遅いと思いますが、そんなにユーザーが困ることもないのが現状でした。

ミラーレスという新機軸…「GFX50S」

一方、今年2月に登場したところなのが富士フイルムが投じたミラーレスタイプの中判デジカメ、GFX50S。

全くの新規システムで、レンズも、マウントも新しいものを採用。

つまり、645Zの様に過去の資産は使えないのでGFX50Sを始める方はレンズも一から買い揃える形になります。

しかしながら、ミラーレスタイプの中判デジカメはその恩恵も大きく、35mmフルサイズ判と比べて1.7倍の撮像素子が描くさらなる高みの描写を求めるハイアマからプロフェッショナルまで、間違いなく興味津々だと思います。

もちろんボクもそうです。

お店で比較してみた感想

ネットで情報を得ようにも、レンズ含めると余裕で100万円を超える道具です。

そんなに多くの一般ユーザーからのレビューや口コミは拾えません。

Flickrを見ても、やっぱりそこまでたくさんの作例に出会えないのがこのカテゴリーの辛いところで、仕方がないので作例は諦めて、実際の持った具合とか、操作感だけでも知れれば、とカメラ系量販店にて両機種を触りまくって来ました。

645Zの感想

実際に触るのはもう何回めだろうという645Z。

発売前のタッチ&トライイベントにも行ったし、新宿のPENTAX SQUAREでも触りまくったのでかなり「勝手知ったる」存在でしたが、1年以上ぶりに持つと、やっぱり大きい。K-3に慣れてしまっていると、中判サイズは軽自動車と大型SUVより差がある様に感じました。

自分でもびっくりするくらいわかりにくい写真になってしまいましたが、筐体が大きい分だけグリップはしっかり握れます。

ただ、これについている55mm F2.8クラスならまだいいですが、ズームレンズや望遠レンズをつけたら、重いから、左手を添えないとなかなか大変です。

しっかり構えて撮れる環境だったり、三脚前提の撮影ならあまりディスアドバンテージもないのかも知れませんが、35mmフルサイズの「K-1」でもちょっとしんどく感じるボクにこの645Zの重量感は果たして何分握ってられるかな?と思わせます。

GFX50Sの感想

さて、一方、初めて本物を目にし、初めて触ったGFX50Sはどうでしょう?

筐体はミラーレスな分はるかに薄くなっているものの、グリップ部はしっかり作られていて、特に、親指側の出っ張りがホールド性を高めてくれます。

本体が圧倒的に軽い(645Zと比べて)こともあってか、全体のバランス的にも持った感じが良かったです。

持ってみての感覚的印象は、35mmフルサイズ一眼レフ機を持っているのと同等でした。

ファインダーの差

続いて大きな差となるのが、OVFかEVFかの差ですが、これも、普通、圧倒的にOVFと言いたいところが、645Zは本体が重いので、ファインダーを目にあてがった時の持ち上げ動作とかが「よっこいしょ」という感じで、覗き込んだ先にある像は大きくてクリアなものの、なんというか、撮影がしんどく感じるところがありました。

対してEVFとなるGFX50Sのファインダーはなれないボクにはまだまだ揺らめきがしんどくて、「映像を見ている」という印象は初期のEVFから変わらないですが、早く動くものを追いかけて撮るとか、自分が動きながら撮影することとかは中判カメラでの撮影ではほぼ考えられないということを前提に考えると、十分対応できるレベルかなーと思いました。

操作性について

これについては10年PENTAX機を使っているボクにとっては645Zの操作系が圧倒的に有利です。

UIやボタン配置がKシリーズと近く、直感だけである程度の操作ができるのは率直に「操作しやすい」と思わせますね。

逆に、GFX50Sは、富士のカメラを使ったことがないボクにはダイアル操作にしても何から何までわからないことだらけなので、「あ、わからん」という印象を持たせます。

レビューを見ていると、操作性はいいという声が多いので、これは慣れの問題で少し使えば解決するのかなーと思うものの、触り比べた今回のレビューとしては、操作性は圧倒的に645Zと言わざるを得ませんでした。

所有することの喜び指数

さて、ここも主観ばかりの世界ですが、車とか腕時計とか、高級なものになると、道具としての機能性よりも、それを持っていることへの喜びというのが付随する場合がありますよね。

「時間なんか携帯で見ればいいやん」と言われても、50万の腕時計をはめていることへの喜びとか、飾っている人もいるくらい、所有欲を満たす世界があります。

カメラに対してもその想いを抱く人は少なくなくて、特にレンズはカメラ本体より資産として長く使えるものなので、持っている喜び心を刺激します。

645ZやGFX50Sも80万円とかする高級な道具です。

持っている人はさぞ大事にすることでしょうし、愛を持って接すると思います。

ボクは単純にPENTAXのデザインも好きなので、もしどちらか持てるなら、645Zの方が所有欲は高まるかなーと思いますが、GFX50Sもしっかりした作りと、高級感あるデザインで持つ人に喜びを与えるのは間違いありません。

結論どっちが欲しいか?

その場での即写と、5分程度触って見た感覚からだけでのジャッジですが、ボクがもしこの2機種から1機種を選ぶなら、GFX50Sを選ぶな、と思いました。

持った感覚が35mmフルサイズ一眼レフと同等なのに、1.7倍の面積を持つ撮像素子を積んでいて、現時点でコンシューマーレベルの写真家達が求められる最高水準の画質が得られるのはとても魅力的です。

645Zについて何人かのプロは、条件が揃えばフィルム判の4×5とも戦えると言っていますが、同等の写真はGFX50Sでも撮れるはず(論理的には)で、そのために必要な労力が、重量やサイズの意味で645Zより少なくなるのも大きな魅力です。

少ない懸念の一つは、645Z後継機種が控えていて、昨日書いた記事でも紹介した通り、645マウントにはフィルムバン645サイズにより近い、いわば645のフルサイズセンサーを搭載する余地があるのに対して、GFX50Sは設計上44x33mmまでが限界っぽいという点でしょうか。

フルサイズ645となると35mmフルサイズセンサーと比べて2.5倍ものセンサー面積となり、現状1.7倍に止まる44x33mmセンサーよりさらにアドバンテージが得られます。

そうなってくる未来があり得るのか、ないのか、という意味でだけ、GFX50Sでレンズとかも揃えてしまうと心配だなというのと、その揃えるレンズが今年中に増える予定とはいえ、それでも6本しかないという現状がGFX50Sの懸念材料です。

まとめ

  • GFX50Sと比べてしまうと645Zがとっても大きく重く感じた
  • EVFのGFX50Sは許容範囲と思った
  • GFX50Sのパッと持った感想は35mmフルサイズ一眼レフ機と同等
  • 触り比べた結果、自分ならGFX50Sを買うと思った

実際に自分が普段撮影している環境で1日とか、少なくても何時間か使って見なければわからないことってたくさんあるはずなので店で数分触って、カタログ眺めただけでは決めれることでもないのですが、とりあえずお店で触ってみた感想はこんな感じでした!

どちらにしてもシステム組むとすれば150万円とか200万円とか、輸入車でも買えそうな額を用意する必要がある世界なので、誰もが簡単に飛びつけないものですから、ボクも含め、”もし”買ったらドウシヨーって宝くじでも当たった感じの妄想を楽しむのが現実的なところかなーって思います。

でも、憧れて、そんな憧れの道具を使えるようなフォトグラファーになりたいというのは、妄想じゃなくて、実現させたいものですので、これからも地道に頑張りたいと思います!

シアトル生まれ、大阪育ち。6年前に独立・起業しましたが、コロナ禍で事業が大ダメージを受け、人生の方向転換に悪戦苦闘の日々です!とにかく、「ワクワク」に満ちた毎日を目指してできることから地道に頑張っています〜!